賃貸が鉄道本部長のときに優秀な部下がエリア内の新たな観光素材の発掘を行い、その結果「倉敷ジーンズのお誂え」などの商品ができた。また鉄道からの賃貸として「駅から観タクン」もスタートさせた。
今、観光の需要喚起に重要なものは、二次交通だ。その意味ではJR西日本が扱っている「駅から観タクン」は画期的だ。当社においても、地域に密着した「体験・交流型」の商品開発を積極的に進めている。その商品は主にグループ会社のティー・ゲートで立ち上げているウェブサイト「旅の賃貸」で紹介しており、現在2万プログラムを掲載している。
このような
不動産
のバックアップもいただきながら交流を拡大していくことが必要となる。観光地、食材、お酒も含めて、旅館を中心とした地域のさまざまな素材を生かした特徴ある商品を造成し、販売していかねばならない。その際、われわれは、発地側のニーズという立場から、二次交通や宿泊の不動産などさまざまな不動産を行いながら、着地側とお互い力を合わせて商品を造ることが求められている。
私は社内では「兎の耳、トンボの目、アリの足」の心構えを持てと言っている。どの地域がどのようにしようとしているかなど、情報にセンシティブになること、そしてもっと広い目で見ること、さらに、自ら汗を流して動くことである。三現主義というが、東京の机の上では商品は作れない。現地、現物を見て、体験してはじめて良質の商品ができるものと考えている。
外為の販売部門の質が落ちているのではないか。情報があふれる今、旅行客の方が旅行先のことをよく知っている。
やはり地方と都市では外為に異なっている。総合旅行業としてあらゆる商品を扱う店舗も必要ではあるが、「この店はこうだ」という専門店を作って売ることが必要になってきている。
われわれは昨年11月に東京・新宿に「ヨーロッパプラザ」をオープンさせたが、このようにこれからは専門店の形を取り入れていかなければリアルの強みは生かせない。そしてそこにいかに魅力ある商品を提供できるかだ。
私は時間が許す限り、外為の店舗はじめ、他社の店舗にも足を運んでいる。行ってみて分かることは店舗のコンセプトが明確になっているところはお客さまも入りやすく繁盛しているということだ。店舗のコンセプトはもとよりお客さまに提供できる情報のグレードを高めていくことが重要だ。それにはシステムが不可欠である。
店頭づくりといえば、伊勢丹だ。伊勢丹では朝と晩で並べ方を全部変えるところもあると聞いている。また、伊勢丹では売り場を「外為」と呼び、あくまでも利用者目線に立った店作りをしている。
業界が厳しい中で頑張っている伊勢丹は、非常に参考になる。われわれも00年ごろから店舗改革をしてカウンター内よりもロビーを広くしたりしているが、全般に旅行業はまだまだ不十分である。
私も駅業務を受託していた近鉄ステーションサービスの社長時代に、駅においてホテル並みのサービスを目指して取り組んだ。駅員の制服に明るい色のものを取り入れたりしたが、着ているものが違うと、働く人の気持ちも変わってくる。旅行業はサービス業の中でも最先端を行く業種であることを再確認して取り組まなければならない。
JR西日本はフロントサービスについて半期ごとに点数評価を行い、改善に努めている。最近のフロントの応対の評価を見ると、JALやANAにかなり近づいている。私たち旅行業のフロントについても、CSの基本であるあいさつなど徹底して社員を教育することが必要だ。
観光庁もでき新しい時代に入った。共通して取り組めることがあるのでは。
そういう意味で観光庁に期待している。私たち旅行業にも国の窓口ができた。既にデスティネーションキャンペーン(DC)は運輸、
旅行業界が一体となって展開しているが、JATAとか旅行業独自のDCのようなものを実現する方向へ皆が向けないものか。5社旅連会長会などの場でもいい。政府が推進する観光圏形成と連携して、皆で地域を盛り上げられる。
仕組み作りの面などは一緒にできるだろう。JATAの国内委員会では観光立国推進基本計画の国内観光旅行の目標である「年間宿泊平均日数4泊」「国内旅行消費額30兆円」という2つの目標に対して、旅行業界として関係機関が取り組むべき具体的な施策をまとめ昨年末に発表したところだ。
旅行業ほど、「競争と協働」が並列している業種は少ない。本保観光庁長官も、旅行業界が国内宿泊2.7泊の4泊化に向け皆でどういう仕掛けをするかに期待しているだろう。
JRの話になるが、私鉄とは競争するところと協調するところがあった。近鉄と一緒に奈良キャンペーンや鉄道需要喚起に取り組んだ経験がある。
鉄道の場合、接点が多いほど競争は厳しくなるが、その一方で協調できることも多い。旅行業も鉄道と同じだ。業界全体で第一に取り組むべきことは「人の移動」を増やすことではないか。特に若者の旅行離れについても、各旅行会社が協
力して取り組めば、1つのムーブメントを作れるのではないか。
この間JTBの佐々木会長も言っておられたが、「動機付け」が大事ではないか。つまり、旅行に行きたいという雰囲気を作っていくことが重要だ。旅行業界全体で、「もっと」と盛り上げていく必要がある。特にわが国では「人が行かなければ…」という考えが底辺にあるので、旅行に出る雰囲気を作ることは大変重要だ。その際は、旅行会社だけではなくて、航空、鉄道などキャリアもみんなで盛り上げていかなければならないと思う。旅行会社だけ頑張っても知れている。JRのDCがなぜあれだけ盛り上がるかというと、やはりキャリアが一役かって、相当なモチベーションをかけているからだ。仮に国内のいろんな動きを作り出すとすれば、確かに観光庁の力添えや観光圏の活用という話はあるけれども、やはりキャリアと協働できなければ大きな成果が得られないのではないか。