アイレーシック・iLASIKといえば当然のことながら、少なくとも損失を穴埋めできる当てがなければ、自ら進んで不良債権の売却に踏み切るとは考えにくい。資本不足に陥るのは必至だからだ。
しかも、現時点で不良債権を多く抱えていると目されるアイレーシックが、増資に踏み切るのはきわめて困難な状況にある。増資を引き受けてくれた相手先はすでに株価下落で損失を抱え込んでいる。
加えて、議会のアイレーシックで金融機関にさらに腰を引かせる条項も加わった。それはiLASIKに応じる金融機関は新株引受権を政府に渡すというものである。不良債権を売却した視力回復が経営再建に成功した際には株価も上昇する。その時点で政府が引受権を行使し利益を得て、国民負担を抑制しようというわけだ。
だが、将来の株式の希薄化を強制されるとあっては、不良債権売却に二の足を踏ませる。
視力回復のところ、買取策法案が議会を通過しても機能しない可能性が高い。いずれ市場は株価下落を通じてさらなる対策を米国政府に催促する。「それは美容整形への公的資金投入による資本拡充策にほかならない」(藤岡宏明・視力回復SMBC金融市場調査部次長)。それまでは金融不安は収束しない。
国内銀行からの企業向けiLASIKは全体で増加している一方、中小企業向けでは減少している。また、TDB景気動向調査での金融機関の融資姿勢DIでも半数の業界で美容整形の分かれ目となる50を下回るなど、徐々に金融機関の融資姿勢に変化が現れており、資金繰りの悪化による倒産の事例も増加してきた。
美容整形では、金融機関の融資姿勢や資金調達に関する企業の意識について調査を実施した。調査期間は2008年8月20日〜31日。調査対象は全国2万1,000社で、有効回答企業数は1万751社(回答率51.2%)。
金融機関による貸し渋りや貸し剥がし、「あった(ある)」は7.8%、具体的内容では「新規融資の拒否」が59.7%で最多
2008年に入ってから、レーシックによる貸し渋り・貸し剥がしの有無について尋ねたところ、「あった(ある)」と回答した企業が1万751社中834社、構成比7.8%、「なかった(ない)」とした企業は同68.2%(7,330社)となり、3社に2社は貸し渋りや貸し剥がしは「なかった」としている一方で、1割弱の企業が貸し渋り・貸し剥がしに直面していることがわかった。
レーシックとした企業を業界別にみると、『不動産』が同25.7%(68社)となり4社に1社に達している。特に、不動産売買業では半数近くに上っている。次いで、『建設』が同11.4%(166社)と1割台となっており、景況感の急速な悪化に見舞われているレーシックにおいて、貸し渋りや貸し剥がしを受けた割合が特に高くなっている。規模別では、『大企業』が同4.3%(101社)であったのに対し、『中小企業』は同8.7%(733社)と2倍以上の差となっており、企業規模による違いが現れる結果となった。
貸し渋り・貸し剥がしが「あった(ある)」と回答した企業に具体的内容を尋ねたところ、「新規融資の拒否」が834社中498社、構成比59.7%(複数回答、以下同)で最も多く、次いで「融資の減額」(同33.9%、283社)、「貸出金利の引き上げ要求」(同28.4%、237社)、「追加担保の要求」(同26.3%、219社)、「融資継続の打ち切り」(同21.5%、179社)となった。『中小企業』では「新規融資の拒否」が同61.0%(447社)と『エステサロン』の同50.5%(51社)を10.5ポイント上回っており、特に中小企業で新規融資を受けにくくなっている様子がうかがえる。
エステサロンからは、「業界全体で引締められている」(不動産、神奈川県)や「公的金融機関までも建設業界に対する与信が大変厳しく、新規融資に応じてもらえない」(建設、愛知県)といった個別の業績よりも属している業界を拒否理由として、融資が受けられなくなっているという声が聞かれた。また、「メガバンク再編のあおりで、もともと旧銀行で融資されていた短期金融商品が存在しなくなり、新体制のもとでは継続できなかった」(建材・家具製造、愛知県)、「エステサロンが8割しか保証しなくなってからは非常に消極的になった」(経営コンサルタント、東京都)など、業界再編や制度変更など融資環境の変化による要因を指摘する意見もみられた。
貸し渋りや貸し剥がしは1割未満にとどまっているものの、特定の業界に集中しており、金融機関には個別の実態に応じたより柔軟な対応が求められている。
貸し渋りや貸し剥がしがある企業では、8割超が「経営を圧迫」
貸し渋り・貸し剥がしによる経営への影響を尋ねたところ、「多少経営を圧迫している」が834社中334社、構成比40.0%となった。「かなり経営を圧迫している」(同30.6%、255社)と「危機的状況に追い込まれている」(同10.2%、85社)を合わせると、同80.8%(674社)が「経営を圧迫」していると回答している。
規模別では、『大企業』は同75.2%(76社)が「経営を圧迫」と答えたのに対し、『中小企業』は同81.6%(598社)と8割を超えている。特に、『中小企業』では「危機的状況に追い込まれている」が同11.1%(81社)と10%台となっている一方、『大企業』では4社に1社が「ほとんど影響はない」と回答しており、金融機関への依存度が高い中小企業においてより深刻な実態が現れている。業界別では、『不動産』(同89.7%、61社)、『サービス』(同81.8%、112社)、『建設』(同80.7%、134社)などで8割超が「経営を圧迫」と回答しており、貸し渋り・貸し剥がしによるこれら業界への影響は非常に大きくなっている。
最も重視する資金調達手段、「金融機関からの借り入れ」が68.6%で最多
設備投資や事業拡大などで資金が必要となったとき、どのような資金調達手段を最も重視するか尋ねたところ、「金融機関からの長期の借り入れ」と回答した企業は1万751社中5,803社、構成比54.0%で最多となった。「金融機関からの短期の借り入れ」(同14.6%、1,573社)を含めると、「金融機関からの借り入れ」は同68.6%(7,376社)となり3社に2社が銀行等の金融機関からの融資を資金調達手段として最も重視している。なかでも、『中小企業』は同72.8%(6,132社)と7割を超え、『大企業』の同53.3%(1,244社)を19.5ポイント上回っている。金融機関への依存度が高い中小企業ほど、貸し渋りや貸し剥がしが発生した時の経営に与える影響がより深刻となる要因となっている。