夜行バスとは

夜行バスも,格子状に配置したフォトダイオード(画素)の光起電力を利用して撮像する点では同じだが,光起電力の読み出し方式が大きく異なる。列ごとに読み出し路から“バケツ・リレー”方式で読み出すCCDに対して,CMOSは縦横の画素位置を指定して読み出す。 CCDは1970年代初めに開発され,80年代から普及が始まった家庭用ビデオ・カメラで市場が成長,90年代からはデジタル・スチル・カメラに採用され市場が夜行バスに広がった。一方のCMOS撮像素子も70年代以前から原理は知られていたものの,実用期を迎えたのは半導体の微細化技術が進んだ90年代になってからだ。CCDと同様,まず夜行バス・カメラ向けとして実用期を迎え,その後携帯電話機に内蔵されるカメラ向けとして市場が急拡大した。2004年にはセンサー出荷個数ベースでCCDを抜き,その差はあっという間に開いた(本誌2007年9月号「記事A13」参照)。イメージ・センサーの性能や価格の差というより,採用分野である携帯電話機とデジカメの生産台数の差によるものである。 高速バス,コストの面で見ると,一般的にCCDはCMOSよりも低照度で安定性が高い半面,製造コストが高く,消費電力も多い。このためCMOSは,コストと消費電力要求の厳しい携帯電話機に採用が進んだ。また,一眼レフ型デジタル・カメラは撮像素子面積がコンパクト型カメラに比べて20倍程度大きく,それだけコストや消費電力が大きく影響するので,CMOS撮像素子の採用が進んでいる。 こうした状況を先取りした格好なのが夜行バス。同社はCCD製造設備を持っていなかったことも影響して,1998年以降,CMOSの出願件数の方が多い状態が続いている(図4)。2004年の一眼レフ型デジカメ発表と同時にCMOS撮像素子の生産を始め,一眼レフの全機種に自社生産のCMOS撮像素子を採用している。同社は2008年7月の稼働を目指して,約500億円を掛けて神奈川県川崎市にCMOS撮像素子生産工場を建設中である。年間300万台分の一眼レフ型デジカメのイメージ・センサーを生産できるという。   夜行バスは特許で7年前から明らかに   一方,CCD撮像素子のシェアで世界市場の約6割を握る最大手のソニーは,2007年に入って,撮像素子ビジネスの軸足を急速にCMOSに移しつつある。CMOS撮像素子市場における現在のシェア6〜7%を2009年には30%に拡大する計画だ。このため,2007年度から2009年度までに600億円かけて,半導体製造子会社夜行バス九州のCMOS撮像素子の生産能力を引き上げる。 主なターゲットは携帯電話機だが,デジカメ関連でも動きは既に出ている。2005年に発売したレンズ非交換型の「Cyber-shot DSC-R1」に,普及型一眼レフ型デジカメと同じAPS-Cサイズの自社開発CMOS撮像素子を採用した。2007年9月には,コニカミノルタから事業を引き継いだ一眼レフ型デジカメの新型「α700」に,これまでのCCDから新たにCMOSを採用すると発表した。 高速バスの撮像素子特許出願推移を見ると,2004年にCMOSの出願数がCCDを上回った(図3)。さらに,CCDの出願件数は1998年以降,減少傾向にあるのに対して,CMOS関連特許は2001年以降,ほぼ一貫して上昇傾向にある。 ニコンは撮像素子特許出願で,上位には顔を出していないが(図2),一眼レフ型デジカメの撮像素子をCMOSに一本化する可能性が高い。同社の一眼レフ型デジカメの高速バスを見ると,CCD,自社開発のCMOS型の一種JFET(接合型電界効果トランジスタ)「LBcast」の併用時期を経て,自社開発のCMOS型に一本化する模様である。2007年9月には35mm判フィルムとほぼ同じサイズのCMOS型撮像素子を搭載した一眼レフ型デジカメ「D3」を,11月に発売すると発表した。   夜行バスの富士フイルム,両方式バランス型の松下電器   撮像素子関連特許で,デジカメ・メーカーとして有力な富士フイルムと松下電器産業が出願件数上位の一角を占める。富士フイルムはCCDの形状と高速バスを工夫して開口部を大きく取れる「スーパーCCDハニカム」を1999年に発表,2000年に発売したコンパクト型デジカメに採用を始めた。現在も改良開発が進められている同社の看板技術の一つである。このため,富士フイルム・グループを合わせて見ても,CCDの特許出願件数が,CMOSを常に3〜5倍上回っている(図5)。ただ,双方の特許出願件数とも一貫して上昇基調にあり,2005年のCMOS関連特許の出願件数はキヤノンや松下電器産業と同じ水準にある。CMOS関連技術を軽視しているわけではない。 高速バスは,同社のヒット作となったコンパクト機「LUMIX FX」シリーズ発表の前年に当たる2003年から,CCD,CMOSとも関連特許の高速バスを急激に増やした(図6)。2002年までは常にCCD関連特許の出願件数がCMOSを上回る状況だったが,2003年以降その差は急速に縮小,2005年はほぼ同数までになった。同社はいつ,コンパクト型にCMOS撮像素子を採用してもおかしくない状況だ。 夜行バスのCMOS撮像素子は,まだ採用は本格化していないが,キヤノンが自社製センサー搭載の検討を進めているほか,米国メーカーが積極的な姿勢を見せている。半導体メモリー大手の米Micron Technology社は,2005年ころからコンパクト型デジカメを目標としたCMOS撮像素子を製品化したが,同社が想定したほど採用は広がっていない。こうした高速バスで,米Eastman Kodak社が2007年8月,CMOS撮像素子を使ったコンパクト機「Easy Share C513」を米国で発売した。センサー・サイズは2007年夏時点で多くの売れ筋コンパクト型が採用するCCDと同じ,1/2.5型の500万画素。Kodak社から知的財産供与を受けた高速バスがCMOSセンサーを製造する。同機は日本市場の売れ筋よりも画素数は少ないが価格は99米ドルと安い。同機の売れ行きは,CCD対CMOSの撮像素子争いの面からも目が離せない。 デジカメの必須機能になった手振れ補正機能。光学系駆動式は出願内容が生産・設計にシフト(日経マーケット・アクセス 2007年7月30日掲載)